Webサイトの保守運用とは?作業内容や費用相場についても解説

サイトを運営して、集客や新商品の告知に使いたいと考える企業担当者の方が多いかもしれません。コンテンツの作成に注力してしまいがちですが、安定してユーザーに訪れてもらうためには「保守運用」について知ることが大切です。
サイトを安全に閲覧してもらうだけでなく、詐欺被害などのリスクを抑えるためにも作業内容や外注したときの相場などを理解しておきましょう。

Webサイトに保守運用が必要な理由

Webサイトにおける保守は、安心してWebサイトを利用できるよう改善と最適化を繰り返していくことです。具体的には、以下のようなものが挙げられます。

  • ドメインやサーバーの保守
  • セキュリティアップデート
  • 外部システムとの連携
  • 問い合わせ対応

これらの保守が適切に行われていなければ、アドレスバーに警告が出る、Webサイトが表示されなくなる、サイバー攻撃を受けてウイルスを埋め込まれるなどの恐れがあります。これらはサイトからユーザーが離れるだけではなく、フィッシング詐欺などの被害に遭う可能性にもつながりかねません。被害が発生した場合、運営者が賠償責任を負うこともあり得るでしょう。

このような事態を防ぐためにも、Webサイトの保守運用は慎重に取り組まなければなりません。

保守と運用の違い

保守と運用はセットで使われることが多いかもしれません。それぞれの違いを明確にしておきましょう。

  • 保守:制作したWebサイトを通常通りに公開し続けるための業務
  • 運用:Webサイトをより最新で使いやすく更新する業務

「保守運用」とまとめて使われている場合には、サイトコンテンツの公開から更新業務まで統合してサービスを提供していることがあります。

Webサイトにおける保守運用の内容

Webサイトにおける保守運用の内容には、以下のようなものが挙げられます。

  • サーバーやドメインの管理
  • 定期的なSSLサーバー証明書の更新
  • サーバーやCMSのセキュリティ対策
  • 最新ブラウザや連携システムの仕様変更への対応

いずれも適切にサイトコンテンツを表示し、ユーザーに安心して見てもらうために欠かせない業務となっています。ここではそれぞれに分けて保守運用について解説していきますので、見ていきましょう。

サーバーやドメインの管理

サーバーやドメインの管理をしなければ、コンテンツを適切に表示できなくなるおそれがあります。
サーバーは、サイトを公開するためのソフトウェア・データなどを保管し、ユーザーのリクエストに合わせて表示させる役割があります。サーバーには契約期間があり、更新や情報管理をして運用していかなければなりません。
ドメインは、Webサイトにとって必要不可欠な存在です。こちらに関しても一度契約しただけで継続的に使えるものではなく、適宜更新し続けなければなりません。万が一、更新を忘れてしまうとサイト自体が表示されなくなります。

定期的なSSLサーバー証明書の更新

SSL(Secure Sockets Layer)とは、インターネット接続を安全な状態に保てるように通信を暗号化するための仕組みです。SSLサーバー証明書はサーバーを提供している会社に申し込み、発行してもらいます。こちらについてもサーバーなどと同様に有効期限があるため、定期的な更新が必要です。SSLサーバー証明書は、サイト上で扱われる個人情報やクレジットカード番号などが保護の対象となり、サイトの安全性を高めるために欠かせません。

サーバーやCMSのセキュリティ対策

サーバーやCMSのセキュリティ対策も欠かせません。サーバーのセキュリティに関しては、適切なパスワード管理や不要なアプリ・サービスを削除するなど、常に最適化する必要があります。また、サイトやコンテンツを簡単に作成・更新できるCMS(Contents Management System)については、バージョンアップをして常に最新の状態を保つようにしなければなりません。CMSのバージョンアップは簡単にできますが、独自のカスタマイズを実装している場合、不具合が発生する恐れがあります。その場合、制作会社や知識がある会社へ保守業務を委託しておくと安心です。

最新ブラウザや連携システムの仕様変更への対応

最新ブラウザや連携システムの仕様変更への対応も必要です。ブラウザやシステムと連携できていなければ、表記崩れやサイトコンテンツ自体が表示されない恐れもあります。最新版のブラウザやシステム、端末などを使い、自社のサイトが適切に表示されているかを確認し、表記崩れなどの不具合が見つかった場合には、更新作業をして修正していかなければなりません。

Webサイトの保守運用にかかる費用相場【パターン別】

Webサイトの保守運用にかかる費用相場は、以下の3パターンが挙げられます。

  • 自社で管理する
  • 中小規模の制作会社に依頼する
  • 大手制作会社に依頼する

安く済ませようと考えるほど自社での作業工数が増え、高くなるほど制作会社が多くの範囲をカバーしてくれるようなイメージです。ここではそれぞれのパターンに分けて、必要となる費用と業務範囲をご紹介しますので、見ていきましょう。

自社で管理するパターン

自社で管理するパターンの費用相場 = 〜5,000円
必要となる費用 = サーバーやドメインなどの最低限かかるランニングコストのみ。

この場合、サイトコンテンツの制作や修正は自社で取り組むか、タスクが発生する度に制作会社へ依頼します。自社で制作から管理まで一貫して行いますが、一部の制作会社では格安プランを提供している場合もありますので、確認してみましょう。

中小規模の制作会社に依頼するパターン

中小規模の制作会社に依頼するパターンの費用相場 = 5,000〜20,000円。
必要となる費用 = 先に解説した最低限の維持費に加えて、コンテンツ修正まで請け負ってくれることが多い。また、あらかじめ決められた作業代行時間が含まれており、制作会社によっては障害対応も対応してくれることも。

こちらの費用相場が一般的なWebサイトの管理費として多い傾向です。しかし、大幅なリニューアルやコンテンツ作成には別途費用が発生することがあるため、事前に対応範囲を確認しておくことが重要です。

大手制作会社に依頼するパターン

大手制作会社に依頼するパターンの費用相場は = 20,000〜50,000円
必要となる費用 = 上記に加え、さらにCMSのメンテナンスや月間レポート作成などの作業が含まれています。
この価格帯は、制作会社によって作業内容が大きく異なる傾向です。管理業務を依頼する前には、どのような作業がパッケージに含まれているかを確認しましょう。

これ以上の価格になると、管理だけでなく集客に関するコンサルや保守運営を依頼できる場合があります。

制作会社に保守運用を依頼する際の5つのポイント

制作会社に保守運用を依頼する際のポイントは、以下の5つが挙げられます。

  • 保守の範囲や運用体制を決める
  • 所有権や著作権の帰属先を明確する
  • 保守内容を契約書に記載する
  • 保守費用の払い方を取り決める
  • 依頼先の技術力や知識を確認する

それぞれに分けて解説していきますので、見ていきましょう。

①保守の範囲や運用体制を決める

保守の範囲や運用体制を契約前に決めておくことが重要です。見積もり時点で、自社サイトの目的に対して「どのような保守が必要なのか、またどのように対応するのか」を明確にしておきましょう。
多くの場合、保守費用は月額で支払うため、必要以上の内容を依頼してしまうと、不要なコストが発生するおそれがあります。しかし、目的に対して保守項目を削りすぎてしまった場合は、トラブル発生のリスクを抱えてしまうかもしれません。
また、保守契約書を交わす際「保守範囲」を明確化しておくことも大切です。曖昧なまま契約を締結してしまうと、認識の齟齬からスムーズに運営できない可能性も考えられるでしょう。このようなリスクを排除するためにも、保守サポートの仕様書を提示してもらい、細かくすり合わせをしたうえで選ぶようにしてください。

②所有権や著作権の帰属先を明確する

ドメインやコンテンツの所有権や著作権の帰属先も明確にしておきましょう。それぞれのポイントは以下の通りです。

所有権の帰属:ドメインやサーバーの所有権は、自社・制作会社のいずれにあるのか?
所有権が制作会社にある場合、業者を変更したいときに「ドメイン移管」や「サーバー移転」ができない事例もある

著作権の帰属:制作会社が作成したコンテンツ(テキスト、画像、撮影写真など)
著作権は、制作会社のものとなる場合ある

③保守内容を契約書に記載する

保守内容を契約書に記載してもらい、確認しておきましょう。
保守業務を外注する場合、「保守業務の範囲・運用体制」などが契約書に記載されてます。具体的な内容は、以下の通りです。

  • ドメインの契約代行及び管理代行
  • サーバーの障害対応
  • Webサイトの運用及び管理代行
  • ヘルプデスクサポート
  • レポート作成

保守業務の内容は範囲が広く、制作会社に一部・全部を依頼することが一般的です。どの範囲を制作会社に任せているのかを理解しておくことが、安定的なサイト運営につながります。

④保守費用の払い方を取り決める

保守費用の払い方の取り決めに関しては、用意されたパターンから選べることがほとんどです。
多くの場合、「保守費用を作業が発生する度に支払う」「月額・着手前に一括清算する」などから選択します。
支払い方法については、保守範囲や契約期間などで変わることがあるため、作業内容や範囲と併せて事前に取り決めておかなければなりません。

⑤依頼先の技術力や知識を確認する

依頼先の技術力や知識を確認しておくことも大切です。可能な限り、制作会社と保守サポートは分けずに一括で委託するとスムーズな運営やトラブルの可能性を最小限に留めることにつながります。複数の会社に依頼すると、トラブルが発生したときの対応や原因究明の遅れなどのリスクがあります。しかし、制作会社ごとに対応している範囲が大きく違うため、対応可能範囲を確認しておきましょう。

目次

Webサイトの保守運用まとめ

Webサイトの運用保守の作業内容や費用相場、外注するときにチェックしておきたいポイントなどについて解説しました。Webサイトは作っただけで効果を見込めるものではありません。
ユーザーが見たくなるようなコンテンツの発信と、運用保守をセットに継続していく必要があります。しかし、保守運用には高い技術や知識が欠かせません。自社だけで対応し切れるか不安な場合は、制作会社に相談しながらサイトの公開を進めていきましょう。

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